アルプス協定
アルプス山脈はスイスを含むヨーロッパ8ヵ国の領土に横たわっており、アルプス圏にはさまざまな言語と歴史的背景を抱えた1,120万人が生活している。アルプス山脈に関する諸問題を効果的に解決するために、8ヵ国の協力は不可欠である。
1つの山岳国の決定が他の国々にも影響を及ぼすため、オーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、リヒテンシュタイン、モナコ、スロヴェニア、スイスの8ヵ国は欧州連合と共同で、アルプス圏における政策を調整し、持続的な発展を促進する目的で「アルプス協定」を結んだ。
「アルプス協定」は、経済発展と自然環境保護の調和を図ることを目標としているが、交渉はしばしば困難をきたす。連邦制のスイスでは国内調整が難航した。当初、スイスの山岳地方の州は、協定内容がアルプス山脈の「保護」に重点が置かれ過ぎて、スイスの山岳地方にある州の存在を脅かすという理由から協定の締結と議定書の原案に反対した。スイスの州は大きな権限を持っているため、連邦が州の意見を無視できないという事情がある。その後、レフェレンダム(議会が採択した法案について住民が要求し必要な人数の署名を集めると国民投票に付される制度)が起きる可能性が高くなり、連邦政府は歩み寄りを示した。連邦政府は、山岳地方の州と協議してさまざまな項目の議定書(土地利用、自然環境保護、森林対策、観光産業、土壌保護、エネルギー、交通、対立の解決法)に山岳地方の州の意見を組み入れた。山岳地方の州の協力により、アルプス山脈の保護と利用の両方に適切な配慮がされた協定書が完成した。
1999年4月末、スイスは協定を批准した。イタリアを除くすべてのアルプス圏の国々は既に協定を結んでいた。
