栄誉の豚糞-スイス・ファーマー・パワー
大量の豚の糞を乗せたトラックが騒音と匂いを放ちながらルツェルンから国内の遠く離れた農業市域に向かう。このような状況が問題となり、機知に富んだ農家たちの呼びかけで株式会社が設立され、バイオガスのプラントが建設された。この尽力活動は、2010年、スイスのエネルギー賞である“Watt d’Or”の再生可能エネルギー部門賞を受賞した。
2006年、ルツェルン州の農家は、42万5,000頭以上の豚が排出する糞がルツェルン州の面積に対して、多すぎる事を大変問題視していた。河川や湖水は、大量の家畜の糞尿によって汚染され、周辺住民を苦しめていた。尿の排水溝や糞の山があふれ、置き場を失った家畜の糞は、遠く離れた農業地域まで輸送されることとなった。農家は、糞の輸送に、他のものを輸送する際と同様、費用を支払わなければならなかった。(糞1kg、1kmにつき50ラッペン以下)何のために悪臭に顔をしかめ、一体、汚物をどのように処理したらよいのか?
富栄養化を阻止するためにひとつになった農家たち
農家たちは、インヴィルのバイオガス・プラント建設のために立ち上がり、エルドガツェントラル・スイス(スイス中央天然ガス株式会社)やエネルギー・ヴァッサー・ルツェルン(ルツェルン・水エネルギー)などのパートナー企業と共にスイス・ファーマー・パワー・インヴィル株式会社を設立した。当時、このプラントは、最大規模のバイオガス・プラントとしてパイオニア的存在だった。2008年当時、スイス・ファーマー・パワーは、植物廃棄ごみ、糞尿など、固体有機廃棄物も液体有機廃棄物もバイオガスに変える事ができる固体発酵と液体発酵を組み合わせた唯一のバイオガス・プラントだった。作られたバイオガスは、地域の天然ガス供給網によって供給され、エネルギー・ヴァッサー・ルツェルンのスタンドで販売される。後には、多くの堆肥が残される。
豚の糞からバイオガス
インヴィルでは、生物に起源するゴミは、バイオガスに生まれ変わる。野菜や植物のごみからコーヒーのかす、豚の糞から食品工業から排出される油、家畜の尿、乳製品を加工する際に出る砂糖水などの液体廃棄物までがCO2ニュートラル燃料となり、天然ガス車両を動かすために利用されている。
固体発酵
分別され、小さく切り刻まれた廃棄物は、固体発酵される。巨大なタンクは、常に3分の2まで満たされており、タンク内の温度が55℃に保たれるようシャフトによってゆっくりとかき混ぜられている。約6割のメタンガスと4割の二酸化炭素からなるこの天然ガスの元を作るプロセスには、3週間を要する。
液体発酵
液体発酵のプロセスも巨大なタンクを要する。タンク内を38℃に保ちながら、15日から20日間内容物がかき混ぜられ、固体発酵と同様、天然ガスの元が作られる。
最終的に、バイオガスは、緑色をしたドームに集められる。
プラントでは、年間、最大で18ギガワットのエネルギー量のバイオガスを作り出すことができる。バイオガスは、天然ガスに加工され、例えば、天然ガス車両用の燃料として、エネルギー・ヴァッサー・ルツェルンのスタンドに運ばれる。この天然ガスは、2千台を超える車両が年間1万2,000km走行する燃料となっており、これは、約200万リットルのガソリンに値する。さらに、4,000トンのCO2排出を抑えている計算になる。
スイス・エネルギー賞‐Watt d’Or 2010
スイスのエネルギー賞であるWatt d’Or 2010は、当時最大規模だったこのバイオガス・プラントのみならず、72名の農家と投資した関係者の勇気と新しい道を切り開いた尽力に与えられた。 彼らは、大量の家畜の糞尿を処理する目的で、ロールス・ロイスをも動かす再生可能エネルギー、バイオガスに賭けている。
外部サイトへのリンク
- Watt d’Or 連邦エネルギー省(英語)




