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オイルスキル-オイル汚染に挑むスイスのフリース繊維

化学処理をほどこしたフリース“オイルスキル” (新しいウィンドウ)

化学処理されたフリース“オイルスキル”は、水をはじき(左)、油を吸い取る(右)。© Oilguard

驚異の繊維“オイルスキル”は、オイル被害を受けた海岸でテストを行った。 (新しいウィンドウ)

驚異の繊維は、オイル汚染の被害を受けたアラバマ州の海岸で実際の条件下でテストを行った。© Oilguard

重油を吸い取った繊維 (新しいウィンドウ)

D重油を吸い取ったあとの繊維は、運び去られて焼却処理される。© Oilguard

重油の流出によって汚染されたアメリカ南部の海岸の映像は、世界中で映し出された。スイスが発明した、油だけを吸い込み、水を弾くという新しい驚異の繊維“オイルスキル”は、すぐさま、この環境汚染の被害を食い止めるために役立つことができた。“オイルスキル”は、オイル被害を受けた海岸に敷かれる巨大なマット状の繊維であり、オイル汚染による被害の拡大を予防するバリアの役目を果たす。

防水加工を施されたスポンジ

“オイルスキル”フリースは、ポリエステルを主原料とし、織られていない繊維からできている。アウトドアスポーツウェアとして広く出回っている防寒着と同様のコンセプトで作られた繊維である。スイスの企業“HeiQ社”のエンジニアによる化学加工の技術革新により、“オイルスキル”は、スポンジのように油を吸い込んで繊維に絡み取るとともに、防水加工を施した衣服のように水を弾く。

この新開発によりスイス企業“HeiQ社”は、オイル汚染に苦しむすべての地域に大きな希望を与えた。今日まで、オイルで汚染された海岸をシャベル(人の手によるもの、あるいは、シャベルカーなどの機械)できれいにする技術は、ほとんど進歩を見せていない。このため、2010年6月にメキシコ湾沖でBP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」が爆発したメキシコ湾原油流出事故の際、スイスの発明が、オイル汚染被害対策プログラムの枠内で、有力な技術として選出され、共同責任を果たす役割を担ったことは、当然のことであった。6月と8月にアラバマ州のオイル汚染被害のあった海岸で行われた試験では、成果を収め、この技術は、アメリカの環境保護政府機関にも公認を得た。“HeiQ社”は、このオイルを吸収するフリースマットの本格な生産体制の整備にあたっている。

使い捨てのマット

汚染された海岸をきれいにすることは、もちろん良いことである。ただ、汚染被害が海岸に達するまえに汚染を食い止められれば、なお良い。“オイルスキル”の開発者によれば、この繊維は、オイル被害の予防措置にも十分に適しているという。“オイルスキル”は、重油の採掘や輸送に従事する世界中の企業から注目を集めている。

フリースマットは、実際、どのようにして使用されるのだろうか?幅5m、長さ500mのフリースは、専用の車で汚染被害のある海岸に敷かれる。海水に浮いて、海岸に流れてきた重油は、砂浜が汚染被害にさらされる前にフリースマットに吸い込まれて、繊維に絡み取られる。試験の結果、“オイルスキル”は、自身の重さの6倍までの炭化水素を吸収することができることがわかった。

フリースマットは、1回のみ使用可能であるため、オイルを吸い取った後は、処分される。“HeiQ社”は、現在、マットを焼却処分する際に発生するエネルギーを利用するという可能性について研究を行っている。当然のことながら、“オイルスキル”は、使用後の処分の際に生ずるエネルギー利用が可能となってこそ本当の“グリーン(環境にやさしい)”技術と言えるのである。

その他の製品

チューリヒ連邦工科大学のスピンオフ企業である“HeiQ社”は、“TWE Vlies社”と“Beyond ST社”という同じく、テキスタイル技術の会社である2つのパートナー企業の協賛を受けている。3つの会社のジョイント企業である“Oilguard社”は、業績が経営的に軌道にのることを目指しており、すでに、新しい製品の開発も企てている。オイル汚染の被害にあった海鳥を救う特別な手袋や船体や石の多い海岸に置いて、オイルの侵入を防ぐスポンジのような布などである。

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