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政治

歩み寄りをベースとしたシステム

法案が成立するまでを「財務相が高速道路建設資金を確保するためにガソリン税の値上げを提案する場合」を例にとって説明しよう。まず財務相は他の閣僚を説得することから始める。他の閣僚はガソリン税をいきなり1リットルにつき50ラッペン(0.5フラン)値上げするのは議会で承認されにくく、現実味がないと言うかもしれない。そして、産業界や環境保護団体などに助言を求め、さまざまな意見から妥協案を見出すことになる。

その後、ガソリン税の値上げ案は連邦議会に提出されることになる。まず議案は、全州議会(上院)にかけられる。全州議会は各政党や州・市町村の代表からなる委員会を設置し、そこで協議され見出された妥協案は議論のたたき台として全州議会に提出される。全州議会で協議され変更が加えられた議案は、さらに国民議会(下院)で協議される。二院で繰り返し協議され可決された案はようやく法案として承認される。両院の協議により財務相が提案したガソリン税の50ラッペン値上げは「ガソリン税30ラッペン値上げ法案」となっているかもしれない。

法案は国民や関連団体にもそのつど伺いが立てられ議論される。今回のガソリン税値上げ法案に関して言えば、道路交通の関連団体が「ガソリン30ラッペン値上げ法案」に反対であれば、5万人の有効署名を集めてレフェレンダムを成立させ、法案に関する国民投票を要求することができる。その際、国民投票により否決されるリスクを少なくするために法案は再び議会によって「ガソリン税1リットルにつき20ラッペン値上げ法案」と改正され国民投票にかけられる。法案が国民投票で可決されれば、ようやく財務相は当初の計画よりは少ないものの税収入を増やすことができる。

野党

内閣が提案したすべての議案は、本来、多数派の政党が力を持つ議会では支持されるのが普通である。しかしスイスでは、連邦内閣の提出した議案が議会や国民によってしばしば否決される。

とはいえ、連邦内閣の提出した議案が議会や国民に否認された場合でも、通常スイスではそのことで政府の存続の危機や内閣の不信任などを招くことはない。