スイスらしさとは?
スイスには4つの国語があるが、ロマンシュ語以外はスイス独自の言語ではない。スイス西部ではフランス語が話されており、隣国フランスからさまざまな文化を輸入し、スイス国内の他の地域からよりもフランスからの影響を強く受けている。イタリア語圏のティチーノ州ではチューリヒの新聞よりミラノの新聞が読まれており、ドイツ語圏に住む人々は隣国ドイツの雑誌を好んで読む。
伝統や食生活なども言語圏によってさまざまである。1798年にスイスがナポレオンに支配される以前から、スイスの中で、ある特定の地域が支配力を持つという歴史があった。例えば、現在のヴォー州にあたる地域は当時、ベルンの支配下にあり、ベルンと同等の権利を持っていなかった。これらの違った言語圏が安定してからのスイスの共通の歴史はわずかに200年たらずである。
このようにスイスは、狭い国土に4つの国語と異なる文化を持っているため、パスポート以外にスイス人としての共通意識を見出すことは難しい。スイスは、多様であるがゆえに地域の自立をお互いに認め合い、多様であることをアイデンティティーとした国家である。
